「大丈夫ですか、ボス!!」
「ああ、俺は大丈夫だ!それより医者の手配を頼む!!」


すぐに指示を出し、俺はいつの間にか気絶していたを抱き上げる。
出血量が思ってたより、多い。
……あの事件のときの傷が開いたのか、腹からも血が出ている。
顔色も悪い。
はっきり言って、このままじゃヤバイ。
それが他のやつらにも伝わったのだろう。

ある者は車の手配をしに。
ある者は医者の手配を。

走り回って、くれている。
みんな、俺の真剣な様子を受け取ってくれて働いてくれている。





だから――――――――――死ぬなよ、



















君で変わっていく10のお題






















あれから、医者の手当てを受けさせたけれどもは起きない。
医者の話では、これまでの緊張の糸がぷっつり切れたんだろうとのこと。
それに、出血量がハンパじゃなくて、危うい状況だったからいつ、目覚めるのかは分からない。
プラス、ずっと雨の中にいたからもしかしたら風邪を引くかもしれない。
そういうことだ。
けれども命の危険はないと言い切ってくれた(俺の顔はそれほど情けなかったらしい)。
………とにかく今は俺の部屋で、は眠っている。
点滴を受けながら、ぐっすりと。
魘されることなく。


「心配、かけさせやがって………」


そっと、点滴を受けていない方の手を取る。
血液を失って、少し冷たい手。
俺の温度が移るようにと、少し強く握った。
すると、少し身動ぎする


「う………ん…………」


起きるまではいかないが、むにゃむにゃと何かを言い出しそうな感じだ。
またアルジェントの名前を出すのか、と俺は思う。
あのとき、に縋られて俺を少し信頼してくれたのかと舞い上がっていたけれども………まだアルジェントには叶わないのかと。
そう、思った。


でも、それを









「……………ディ…ー………ノ」









が吹き飛ばす。


「俺の、なまえ…………を、呼んだ…………?」


てっきり、アルジェントの名前かと思ったのに。
呟かれたのは俺の名前。
それが妙に嬉しくて。
寝てるに思わず、抱きついた。


!」
「ぅんっ!痛……っ」
「あ、悪い!」


痛がって起きたからぱっと離れる。
やば……嬉しすぎたからって、ちょっと勢いつけすぎた。
傷、悪化したら元も子もないじゃねぇか。


「ディー、ノ……?あれ、俺………」


混乱してる様子の、
俺はもう一度、今度は優しくに抱きついた。
……つか、ベッドに潜り込んだ。


「!?!?!?!?」


ようやく思考が追いついてきたらしいは、ぱくぱくと口を動かした。
どうやら、驚きのあまり声が出せなくなっているらしい。
まあ、当然かもしれないな。
俺は点滴を外さないようにして、を背中から抱き締めた。
動揺しているのがすぐ分かる。


「すっげぇドキドキしてる」
「……っ!お、お前が驚かすから……」
「ほんとにそれだけ?」


の反応が面白くて、俺は首筋に顔を埋めた。
嫌がっているけど、本気じゃないことが分かる
俺をようやく信頼してくれたんだと改めて実感した。


「ん………っ、馬鹿、離せっ!!」


強くそこを吸うと、綺麗なアトが付いた。
俺のものっていう、シルシ。
そこでしばらく同じ事を繰り返していたら――――肘鉄が入った、見事に。


「「っつ〜〜っ!!」」


同時にも呻く。
そうか………肩、俺を庇って怪我をしてたんだな。
さすがに、調子に乗りすぎたか…………。


「でも………良かった」
「?」


「 が生きてた 」



俺はに気づかれないように、涙を拭った。
あー………こんなとこ、見られたらカッコ悪いよな。
でも安心したら出てきたんだ…………止められるわけが無い。
俺は静かに、涙を流す。
拭っても出てきやがる…………。


「……………」
「……………」


俺が話しかけないから、静かだった。
それでいい。
話しかけようにもうまく言葉が出ないだろうし、涙声になってしまうから。
しばらく二人でそうしていると、不意にがぐるりとこちらを向いた。
仏頂面でけれども頬は赤かった。
意味がわかんなくて半ば呆然としていると、肩を負傷してるのに強い力で引き寄せられる。
そのまま、俺はの胸に顔を押しつけるられた。
………結構、容赦ない。


……?」


俺の声にの肩がはねるのが分かった。
やがて、の腕がゆっくり背中に回る。
そしてその腕はあやす様に、背中を撫でた。

………くすぐったい。


「ね、寝ろ」
「……なんで?」
「いいから寝ろっ!こ、こうしておいてやるから」


焦ったように、は言った。
胸に顔がきているから、早い鼓動はすぐに俺に伝わってくる。
見上げなくても、が真っ赤な顔をしているであろうことは分かってしまった。
だから言葉に甘えて、を抱き締める。
力いっぱい、密着して。


「なあ」
「……・・・…なんだ」



「 甘えていいか? 」



不意に、言葉が出た。
まるで子供みたいな言葉。
言ってから俺の方がびっくりした。
もそれは同じみたいで。
少しの間があって、俺の耳に囁くように言った。



「 ……すきにしろ 」



優しい声だった。
だから、このまま眠ってしまいたかった。
だけど、さ。

俺だけ、って言うのも悪いだろ?


「っ!」


顔を上げて、見えたの顔に(やっぱり真っ赤で可愛かった)、俺はキスをする。

今は触れるだけ。

それだけのキスを。

それはに一瞬の隙を生んだ。
それが元々狙いだったから、俺はそのまま、を抱え込む。


点滴を吊るしているものが、大きく揺れた。


そうしては俺の腕の中。
始めと同じ格好。
今度は俺も途中で離れない。



離したら――――今度こそ、がどこかに行ってしまいそうだから。




「なら、さ……………」


びくりとが更に大きく反応した。
そりゃそうだ。
俺の顔…………今は耳元じゃなくて首筋にあるし。
くすぐったいだろう。






「―――――……も俺に甘えてくれよ」


















一人が支えるんじゃなくて……………………互いが支えあう関係になりたいから


















俺はそう願って、その首筋に紅い花びらを散らした。


















甘えていいですか

(もっと甘えてください――――甘え返してあげるから)




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