アイツと初めて会ったのは、俺が五歳の頃。
周りにいる大人全てが、敵に見えてた頃だ。
家が有名過ぎたせいもあったんだろうな、俺はやさぐれてた。
父親も母親も仕事でいなくて、一人きりの夕食。
そんなことはしょっちゅうあった。

そんなときだ。

が現れたのは。

アイツは今と変わらない笑みを浮かべて、俺に手を差し伸べてきた。
そして、俺が今まで目を向けようとしなかった世界を見せてくれた。
小学校中学年まで、ずっと一緒だった。
俺が風邪をひいたときも、ずっと。
参観日や運動会に来たことだってある(学校はどうしたのか、それは俺の一生の謎だ)。


だからだろうか。


俺はいつの日からか、自分のに対する気持ちを自覚した。


俗に言う“恋心”って奴だ。
しかも、俺にとっては初恋。
だけど俺は、その気持ちをずっと心の奥底に封印した。
このままで、といたかったからだ。
けれども、は大学に進学することになり。
自然と俺と会う機会も少なくなっていった。
そうして俺は、中学生になった。



そして、と再会した。



正直、目を疑った。
初恋の相手が……それも、今も想ってる相手がいきなり教師として現れたんだからな。
その瞬間、抑えつけていた感情が溢れた。
もう、我慢しないと決めた。
けれども俺の強がりな心が許さない。
伝えないまま、時間は過ぎて。
忍足がに惚れてちょっかいを出し始めた。
忍足は気づいてないみたいだったが、の反応は満更じゃなかった。
だから俺は、諦めようとした。
けどな………やっぱり俺は諦められなかった。


俺は、長い片想いに終止符を打つために、行動を起こすことを決意した。































…と、決心して早一ヶ月。
俺も忍足も特に進展を迎えられないまま、夏休みの終わりを迎えようとしていた。
夏休みの終わりといえば、と行った夏祭りを思い出す。
と、手を繋いだあの日を。
その日を思い出すかのように、俺は一人、が教えてくれたあの場所へと足を向けていた。
予想はしていなかった。
がここに来ると。
けど心のどこかで、と会えることを俺は確信していた。
普段の俺なら、有り得ないと思うはずだ。
それなのに、俺は思った。
のせいだ。
ずっと、ずっと、俺を縛り付けているのせいだ。
俺はそう思った。


……」


星の瞬く夜空を見上げて、零れる言葉はアイツの名前。
なぜか、胸が痛い。
アイツを思うといつもそうだ。
ずっと、痛い。
取れない痛み。
治せるのは、ただ一人。
ただ一人だ。


「けい、ご」


がさりと音がした背後。
振り返った先には、想い人の姿があった。
なんというタイミング。
なんという偶然。
この機会を逃してたまるか、と思った。
邪魔な忍足もいない、絶好のシチュエーション。
例え、この場に忍足がいたとしても関係ない。
俺はずっと抱えてきた想いを伝えるだけだ。
そして、の言葉を待つだけ。



だから俺は、へと告げた。



この痛みが取れるように、の傍にいれるようにと願って。