二週間という時間は長いようで、短い。
にとってもそれは同様だった。
始めの一週間はとにかく学ぶことが多すぎた。
後の一週間はだいぶこの瀞霊廷にも慣れ、知り合いができてきたりする頃でもある。
そして、は今。


二度目の隊首会に出ていた。






















二度も隊首会にかけられた人物なんて、そうそういない。

この二週間で尸魂界のことを学んだはそう思った。
隊首会といえば、主に緊急なことに対し護廷十三隊各隊長が集まる集会だ。
が、の場合は各隊副隊長まで出席している。
これほど異例なものなどない、と自分が異常であることを更に自覚した。
そしては気を強くもって、会の中心人物である山本を見る。

―――周りの空気に呑まれたら終わりだ。

そう理解しているは目を逸らさない。
そんなを見て、山本は満足そうに笑った。


「儂はこの者を護廷十三隊に迎え入れたいと思う」


どよめきが周囲でする。
が、既にを知る者はただ黙っている。
分かっているのだ。
たった一回でも、の実力が本物であることを。
だがまだを知らない者たちは、得体の知れない人物を受け入れることはできない。
自分の部下になるかもしれない人物が、得体の知れない人物だったら。
そう、腹に爆弾を抱えているようなものだ。
だからどよめくのも仕方がないとも分かっている。
そしての力を証明するには、実戦しかないことも。


「俺は納得いかねぇぜ。本当に強いのかまだわかんねぇ。どうしても入れるっていうなら、俺と戦わせろ」


名乗りを上げたのは、十一番隊隊長更木剣八。
十一番隊は確か――――戦闘を好む者、隊長である更木を慕う者で構成されていると聞いている。
その更木に勝てば―――勝つ、というより認めさせれば―――の実力を疑う者はいなくなるだろう。
だが、山本はどうやら渋っているようだ。


「ふむ……更木の言うことも一理ある。じゃが、ちぃと荷が重すぎやせんか?」


たった二週間だけ、教育を受けた者。
そんな人が戦闘に特化した十一番隊の隊長に勝てるわけがない。
そう思うだろう。
だがは巨大虚を倒したという経験がある。
実戦の経験は何にでも勝る。
しかしそれでも、不安は拭えない。
山本はそう思っているのだろう。


「別に俺は構いませんよ。…………貴方の言うことは最もだ」
「はッ、わかってんじゃねぇか」


はその承諾をあえて受ける。
更木も逃げなかったことは褒めてやる、というような視線をに向ける。




はそんな視線に対し、不敵に笑って見せた。
























「これはあくまでこの者……の実力を見るためのものじゃ。……殺すことは許さぬ」


山本は二人に―――特に更木に―――そう言うと周りの者にも目配せした。
今、この場には各隊隊長格とどこからかこの騒ぎを聞きつけてきたらしいギャラリーがいる。
その者たちに釘を刺すような仕草。

手出しは無用。

山本の目はそう語っている。



「 始め 」



その宣言と共に更木の刀がの目の前に突き出される。
それをは鞘から抜いた水響<みずひびき>で受け流した。
更木はそのままのスピードを維持したまま、打ち込み続けるがはそれを受け流し続けるだけ。
誰が見ても更木に押され、劣勢に見える。


「お前の力はこんなモンじゃねぇだろ。――――本気、出せよ」
「手を抜いてる貴方が言うことじゃないでしょう。………でもそろそろ、攻めに転じてもいいですよね」


水響で再び受け流し、そのままは更木の身体をバランスを崩させた。
そして後ろに跳び、ある程度距離をとるとおもむろに水響を更木へと投げた。


「なっ!?」


自分の半身のようなものである斬魄刀を相手に向けて投げるなど、誰がするだろうか。
ギャラリーからも驚嘆の声が上がる。
無論、驚いているのは各隊長も同じこと。
が、戦っている当の本人たちはそんなことなどどうでもいい。
飛んできた水響を更木は弾いた。
と、同時に風が巻き起こった。
何事か、と目を細める更木の周りを風が取り囲む。
気が付けば更木は風に閉じ込められた状態になっていた。
だがそれに怯む更木ではない。
纏わりつく風を無理矢理振り払うと、風の外に出る。

そこには水響を構えたがいた。





「 映せ、水響 」





不敵に笑うが刀身に指をはしらせ、何かを宣言するかのように呟くと、水響は見覚えのある斬魄刀に姿を変えた。
見ていた市丸が僅かに反応する。

水響が変化したのは、脇差のような斬魄刀―――

見覚えのある斬魄刀のはずだ。
なぜなら、それは―――――――が一番知る斬魄刀。






「 射殺せ、神鎗 」





伸びる刀は更木の頬を掠め、僅かな出血を起こさせる。
それを指ですくい、自身の血であることを確認すると更木は面白そうに笑った。
まるでこれからが本番だ、とでもいうような笑み。
それに答えるようにも笑う。
そして、再び刀を交えようとした。

のだが。



「う、うわあああっ」
「誰かっ、あれを止めろ!」
「待て、そっちは―――げふっ!!」




僅かに聞こえた奇妙な声たちと―――――妙な機械音に。




辺りは沈黙した。



















It's Showtime!

(さあ、あばれろ!!)





(どうやら一波乱きそうです)